【5月6日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)は5日、昨年11月の大クラッシュを最後にF1を離れたフランス人ドライバーのロマン・グロージャン(Romain Grosjean)が、6月下旬に同国で行われるテストで再びF1マシンを運転すると発表した。

 35歳のグロージャンはメルセデスのウェブサイトで、「F1のマシンに再び乗れることになり興奮している! 自分にとって特別な機会になるだろうし、世界選手権で優勝したメルセデスで走るのは唯一無二の体験になる」と喜びを語った。

 当時ハース(Haas)に所属していたグロージャンは、昨年11月29日に行われたバーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2020)決勝の1周目に時速220キロのスピードでバリアーに衝突。マシンは衝撃で真っ二つになって炎に包まれた。本人は自力で脱出したが、両手にやけどを負い足首を捻挫した。

 その直後、メルセデスのトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表は、事故をグロージャンのF1キャリアの最後にはさせないとコメントしていた。

 グロージャンをフォーミュラ3(F3、FIA F3選手権)時代から知っているというヴォルフ氏は、「ロマンのF1でのキャリアに終止符が打たれそうだとなったときにこのアイデアは生まれた。われわれは事故が彼のF1マシンでの最後の瞬間になってほしくなかった」と明かした。

 ヴォルフ氏のサポートが士気を高めてくれたというグロージャンは、「この機会を与えてくれたメルセデスとトトに心から感謝している。メルセデスのマシンを運転するチャンスがあると初めて聞いたのはバーレーンの病院のベッドの上で、そのときトトはメディアに自分を招待すると言っていた。そのニュースを読んで励まされた」と話した。

 グロージャンは6月27日、ポール・リカール・サーキット(Paul Ricard Circuit)で開催されるフランスGP(France Grand Prix 2021)決勝前の「デモンストレーションラップ」で、ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)がチャンピオンシップで優勝した2019年のメルセデスのマシン「W10」を駆り、29日には同サーキットでプライベートテストを行うという。

 ヴォルフ氏は「彼の最後の思い出をチャンピオンシップを取ったマシンにしたかった」と話した。また、すでにインディカーシリーズ参戦を表明しているグロージャンは、「F1最後の走行がフランスGPのホームのファンの前だ。これ以上のことがあるのか?」と、ツイッター(Twitter)に投稿した。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のせいで2020年はフランスでレースをする機会がなかった。なので2021年にメルセデスでフランスGPを走り、その後でホームトラックであるポール・リカールでテストができるのは本当に特別なことだ。待ちきれない」 (c)AFP