【5月6日 AFP】米競売大手クリスティーズ(Christie's)がプライベートセールで販売しているフランス・ボルドー(Bordeaux)産ワイン、2000年の「ペトリュス(Petrus)」が、この世の物とは思えない味がしたら、国際宇宙ステーション(ISS)で14か月熟成されたからに違いない。

 クリスティーズは売却価格は、平均的な1本750ミリリットルのワインとしては過去最高の100万ドル(約1億900万円)に達すると予想している。

 このペトリュスは、欧州のスタートアップ「スペース・カーゴ・アンリミテッド(Space Cargo Unlimited)」が、宇宙空間で飲食物がどのように成熟するかを調査する研究の一環で、宇宙に送り込んだ12本のうちの1本。

 同社のニコラ・ゴーム(Nicolas Gaume)氏によると、ワインは440日近くを宇宙で過ごした。

 ペトリュスは2019年11月2日、補給船シグナス(Cygnus)に載せられISSに運ばれ、今年1月14日に米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の補給船ドラゴン(Dragon)で地球に戻ってきた。

 クリスティーズの発表によると、ボルドーのワイン研究所で3月に行われた試験で12本のワインは「準備や輸送、ISSでの保管など全ての制約に問題なく耐えた」と判断された。

 宇宙に行ったワインと行かなかった同等のワインのブラインドテイスティングも実施され、「色や香り、味の構成に著しい違い」が認められたという。

 クリスティーズは、宇宙に行ったワインは「複雑な味を評価され、素晴らしいワインだと認められた」としている。

 ワイン1本のこれまでの最高額は、2018年に競売大手サザビーズ(Sotheby's)で販売されたブルゴーニュ産ロマネコンティ(Romanee-Conti)の55万8000ドル(約6100万円)。

 映像はISSから戻ってきたワイン「ペトリュス」と、宇宙に行ったワインと行かなかった同等のワインのブラインドテイスティングの様子。3月1日撮影。(c)AFP