【5月5日 AFP】ニュージーランドは5日、中国政府によるウイグル人の扱いを「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定するのを避け、またもや欧米同盟諸国との溝を深めた。

 議会は、ジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相率いる与党・労働党が、ジェノサイドへの言及を削除するよう求めた後、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での人権侵害に「重大な懸念」を表明する動議を全会一致で可決した。

 ブルック・フォンベルデン(Brooke van Velden)議員は、米国、英国、カナダなどの同盟諸国がジェノサイドと認定しているにもかかわらず、ニュージーランドが最大の貿易相手国である中国の機嫌をうかがい、足並みをそろえられないのは「耐え難い」と述べた。

 フォンベルデン氏は、「わが国がどのような基準を定めるか、中国共産党によってわが国が欧米の同盟諸国の中で最も与し易い国として扱われるのかどうか、いまや世界が注目している」と主張した。

「思ったままに発言すれば損失という脅威に直面するかもしれない。だが、そうしなければ、はるかに大きな脅威に直面することになる」

 アーダーン氏は今週、中国との人権に対する見解の相違を解決するのが一段と困難になっていると認める一方、今後も中国政府に懸念事項について指摘していくと述べた。

 アーダーン政権は中国による人権侵害批判に及び腰で、ニュージーランドは米国主導の5か国の情報機関による多国間協定「ファイブアイズ(Five Eyes)」の弱点になっていると批判されている。

 AFPは在ニュージーランド中国大使館に本件についてのコメントを求めたが、回答は得られていない。(c)AFP