【5月14日 AFP】インド・ムンバイに住む17歳のスワダ・プラサド(Swadha Prasad)さんは、試験勉強を済ませると、やるべき仕事に取り掛かる。新型コロナウイルス感染拡大の第2波が猛威を振るう中、患者の生命を救うために酸素と医薬品、そして病院の空きベッドを見つけるのだ。

 政府が感染拡大阻止に苦闘する中、インドの若者らはクラウドソーシングのアプリを運用して募金を集め、大事な物資を届け、ソーシャルメディアを使って支援を必要とする人々にリソースを振り向ける活動を行っている。

 プラサドさんをはじめとする14歳から19歳のボランティア数十人が参加しているのは、若者主体の組織「UNCUT」だ。彼らは取り組みの一環として、国内各地で調達可能な医療資源の情報を扱うオンラインデータベースを構築した。

 10代のメンバーらは絶えず自分の電話を使って、物資が入手できるかどうかの確認に当たっている。リアルタイムで情報を更新し、患者を抱える家族からの必死の電話に対応している。運営は24時間休みなしだ。

「電話は午前3時でもかかってきます」とプラサドさん。昼前から翌日の午前1時までの14時間、ぶっ続けで働いている。

 長丁場で、消耗することもしばしばだが、プラサドさんは「一人でも命を救う手助けができるなら、やめたいとはまったく思いません」と言う。

 実際にチームの活動は命を救ってきた。あるときは真夜中に2時間待ちわびた末、若いコロナ患者に酸素を調達することができた。「大事なのは、医療資源の提供だけではありません(中略)人は時に自分がひとりぼっちでないことを知る必要があるのです」とプラサドさんは語った。

■「酸素男」

 ムンバイのスラム街で、「酸素男」として知られるシャナワズ・シャイク(Shanawaz Shaikh)さん(32)は、何千人もの人々に無料で酸素を提供している。

 シャイクさんは昨年6月、大事にしていたSUV(スポーツ用多目的車)を売り、それを資金に活動を始めた。妊娠していた友人のいとこが、入院するために人力車で病院へ向かっている間に死亡したことがきっかけだった。

「彼女は酸素が間に合わなくて死んだのです」と、シャイクさんはAFPに語った。

 ボランティア20人から成るシャイクさんのチームもまた、深刻な医療用酸素不足と格闘している。闇市場などの存在で状況はさらに悪化している。

「信念が試されています」とシャイクさん。重篤な患者のために数十キロも離れた場所へ出掛けて酸素を調達することもあると言う。

「でも誰かを助けることができたときには、(うれしくて)泣きたくなります」