【5月5日 AFP】ベルギー人男性が知らぬうちにフランス領を奪い、ベルギー領を拡大してしまった。

 ベルギー西部エルクリンヌ(Erquelines)のダビド・ラボー(David Lavaux)町長によると、大胆不敵なこの男性は、境界標石をフランス側に2.2メートル動かすことの意味を過小評価していた。

 ラボー氏によると、2019年に国境の正確な位置情報を取得してあるため、標石が動かされたことは、簡単に証明できるという。

 事態は1か月前、フランスの歴史愛好会のメンバーらによって発覚した。

 ベルギーは1815年、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)がワーテルローの戦い(Battle of Waterloo)で敗れた後、ウィーン会議でオランダに併合された。

 このため、1819年に設置されたこの標石には、フランス側に頭文字の「F」、ベルギー側にオランダの頭文字の「N」が刻まれている。

 境界は1820年にコルトレイク条約で確定し、ベルギーが1830年に独立を宣言した後も、そのままとなっていた──少なくともエルクリンヌの男性が標石を動かすまでは。

 しかし、戦争になることはなさそうだ。ラボー氏によると、問題解決に向けて、男性と面会の約束を取り付けているという。

 ラボー氏は、「今週中に男性と面会する予定だ。男性が標石を元の場所に戻すなら、それ以上何もしないつもりだ」とAFPに語った。(c)AFP