【5月5日 AFP】米マイクロソフト(Microsoft)創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏と妻のメリンダ・ゲイツ(Melinda Gates)氏が離婚を発表したことを受け、夫妻の共有資産の分割方法や、共同で運営する世界最大級の慈善団体の今後に注目が集まっている。

 ゲイツ夫妻は推定1300億ドル(約14兆円)の資産を保有し、大きな影響力を持つビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)を通して世界各地の慈善活動に巨額の資金を投じてきた。夫妻は今後も財団の活動に共同で取り組む意向を示している。

 ゲイツ財団は世界屈指の資金力を持ち、この20年間に世界各地でマラリアなどの感染症対策、農業研究、基礎医療、衛生などの分野に540億ドル(約5兆9000億円)余りの助成金を提供。現在保有する寄付金の額は460億ドル(約5兆円)余りに上る。

 ゲイツ夫妻の離婚により、夫妻の資産をめぐる新たな疑問が生じる可能性がある。夫妻は、大富豪らに保有資産の半分以上を寄付するよう呼び掛ける活動「ギビング・プレッジ(Giving Pledge)」を共同で立ち上げたが、今のところ自身の財産の大半をゲイツ財団に寄付するには至っていない。

 米スタンフォード大学(Stanford University)のロブ・リーシュ(Rob Reich)教授(政治学)はツイッター(Twitter)への投稿で、「慈善活動において最も重要な夫妻の離婚は、@gatesfoundation(ゲイツ財団)の将来、さらには慈善活動の将来について、さまざまな疑問を投げ掛けるものだ」と指摘。ゲイツ財団が近く、離婚により生じる影響について何らかの発表を行うことを望むと述べた。

 2019年には、米ネット通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)創業者で大富豪のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏がマッケンジー・スコット(MacKenzie Scott)さんと離婚。スコットさんはその後すぐ、財団を設立することなく、さまざまな慈善事業に数十億ドル(数千億円)を寄付し始めた。(c)AFP/Rob Lever