【5月3日 AFP】オーストラリアの独立機関「オーストラリア人権委員会(Australian Human Rights Commission)」が3日、国内の体操界を調査した結果、虐待や性差別、人種差別、高圧的な指導が常態化していることが分かったと報告した。

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 各国で体操界の虐待が明るみに出る中で、委員会はオーストラリアでも精神的、肉体的、性的な虐待や言葉の暴力、医療ミス、若い選手の容姿をあざける行為などが数十年にわたって見過ごされてきたと述べた。

 そして、個々の虐待の疑いについては第三者による調査を行って、体操界の上層部が公式に謝罪するとともに、抵抗できない若い女子選手に対して過度の影響力を持つことが多いコーチに関しては、審査を厳格化して登録制度を整備することを提案した。

 これを受けて、オーストラリア体操協会(Gymnastics Australia)は「虐待を経験した選手と家族のみなさんに心から謝罪する」と述べ、12の提案を全て採用することを約束した。

 体操界は近年、相次ぐスキャンダルに揺れている。米国では、シモーネ・バイルス(Simone Biles)ら女子のスター選手を含む少なくとも265人に20年以上にわたって性的虐待を加えていたとして、同国体操連盟(USA Gymnastics)の元チーム医師であるラリー・ナサール(Larry Nassar)受刑者が有罪判決を受けた。

 英国でも虐待行為の疑惑が浮上して注目を集めているほか、ギリシャでは複数の元選手が、コーチ陣の一人から数十年間にわたって「拷問に等しい」虐待行為を受けていたと訴えている。(c)AFP