【5月6日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)西安市(Xi’an)でこのほど、前漢時代中・後期の高位者の墓が見つかり、約2千年前の人々の日用品が多数出土した。

 M553墓と名付けられた同墓は、同市南東郊外、杜陵邑(とりょうゆう、前漢宣帝の陵墓・杜陵に仕える人々が住んだ町)遺跡の北境界から約1・5キロの地点にある。墓道と耳室、墓室からなり、墓道は長さ16・8メートル、墓室は幅4・1メートル、長さ5・3メートル、深さ9・2メートル。盗掘を受けており、盗掘穴を埋めた土の中から、歯を加工した円筒形の装飾品や玉猪握(富の象徴とされたブタをかたどった玉器で死者に握らせた)などの器物が出土した。

 重要な発見となったのは、幸運にも度重なる盗掘を免れた二つの耳室で、うち東側の耳室からは土器や灰釉陶器の罐(かん、水がめ)などの器物が見つかり、彩色土器の首には年代を示す文字が朱書きされていた。また、口が束ねられ、整然と積まれた円筒形の袋からはこれまでにアサ、キビ、アワの3種類のサンプルが採取されている。袋は上部をござで覆い、赤いひも状で縛ってあった。耳室の外側にも口が開いた状態の円形の袋が並んでおり、内部に茶色の残留物があったが、成分については現時点で分かっていない。

 陝西省考古研究院M553墓発掘チームの責任者、胡春勃(Hu Chunbo)氏によると、2千年以上昔の墓で多くの種類の有機物が残されているケースは、関中地区(函谷関の内側=西側)で長年実施した発掘調査でも比較的まれだという。(c)Xinhua News/AFPBB News