【5月9日 AFP】アルゼンチンのメンドサ(Mendoza)州は、ワイン用のブドウ品種「マルベック(Malbec)」の代名詞となっているが、ワインセラー建築の手本にもされていることはあまり知られていない。

 アンデス山脈(Andes)の丘陵地帯の乾燥した気候の中で、建築家のエリアナ・ボルミダ(Eliana Bormida)氏とマリオ・ヤンソン(Mario Yanzon)氏は、40件以上のプロジェクトに取り組み、アンデスの環境と「深い」対話を行ってきた。

 ボルミダ氏は、1990年代の終わりに「世界市場で勝負できるワイン造り」を目指すことを決意したメンドサのワイン醸造業者らにワインセラーの装飾を依頼されたとAFPに語った。

「その10年後にブームが起きるとは想像もしていなかった。(メンドサの)ワイン業者の依頼がきっかけで、私たちはおいしいワインの製造場所というだけではなく、訪問客も受け入れるようなワインセラーを手掛けるようになった」とボルミダ氏は言う。

「私たちが取り組み始めたのは『ランドスケープ・アーキテクチャー(景観設計)』というコンセプトだ。優れた建物を設計するだけではなく、雪山の景観と深い対話をすることを目指している」とも話した。

 ボルミダ氏の特徴的なワインセラーからは、「設計、建築、文化、気候そして景観に関する膨大な知識」が見て取れると米ハーバード大学(Harvard University)の建築学教授、ポール・ナカザワ(Paul Nakazawa)氏は指摘する。「これほど奥深く幅広い知識を持つ建築家は、世界でも数えるほどしかいない」と語った。(c)AFP/Maria Lorente