【5月3日 People’s Daily】中国政府は第14次5か年計画(2021~2025年)と2035年までの長期目標で、「法定の定年退職年齢について段階的に調整し、弾力的に運用し、分類して延長していく」と盛り込んだ。中国労働・社会保障科学研究所の金維剛(Jin Weigang)所長は「平均寿命の上昇、高齢化、教育年齢の増加、労働構造の変化という4つの観点から定年延長が必要とされている」と説明する。

 中国人の平均寿命は1949年の中華人民共和国成立直後は約40歳だったが、2019年には77.3歳に上昇した。特に、勤労者の定年制度に最も関係がある都市住民の平均寿命は80歳を超えている。一方で中国の法定退職年齢は1951年に男性60歳、女性幹部55歳、女性従業員50歳と定められた後、70年間全く変更されていない。

 2019年の60歳以上の高齢人口は総人口の18.1%に達し、第14次5か年計画の期間中に3億人を突破する見込みだ。現行の退職年齢のままでは労働者が急減、リタイア層が急増し、社会・経済への負担が明らかに大きくなる。

 近年は高学歴化が進み、勤労者の平均教育年齢は13.7年に達しており、就業開始年齢はどんどん先送りになっている。定年を延長しないことは人的資源の浪費となる。中国の労働年齢人口は2012年から下降し、年間300万人以上減少。毎年の減少幅も増えており、高齢層の労働力がますます求められる。

 それでは、定年退職の年齢を「段階的に調整し、弾力的に実施し、分類して延長していく」とは具体的にどのように行われるのか。

 金維剛所長は「段階的な調整とは、定年の時期を少しずつ遅らせることだ。最初は定年を数か月遅らせるだけなら、個人個人のライフスタイルへの影響は少ない。その後の世代の勤労者はもっと退職年齢が延長されるが、10年後や20年後のことであれば適応していくだろう」と語る。

「弾力的な実施」については、「全員の定年を一律延長すると規定せず、早期退職を選択できる余地を残すこと。これが定年延長制度の最大の特徴だ」という。「分類して推進」とは、「職種や地域、役職に応じて定年延長を導入していく」ことを意味するという。

 また、第14次5か年計画では、定年延長について「統合的な計画と各方面への配慮を原則とする」ともしている。定年延長とともに多くの社会保障政策を体系的に導入し、これまでの定年に関する制度の見直しを図っていく。また、定年の延長は新しいチャンスでもある。政府は高齢者のニーズに見合った技能訓練や雇用支援を行い、高齢者の就業や起業を促進する考えだ。(c)People’s Daily/AFPBB News