【5月9日 AFP】ステファノ君(10)はまだ子どもだが、憧れのスーパースター、リオネル・メッシ(Lionel Messi)選手のようにドリブルからゴールすると、王者のような気分になる。

 スペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)所属のアルゼンチン代表、メッシ選手がユース時代に加入していたアルゼンチン1部のクラブ、ニューウェルス・オールドボーイズ(Newell’s Old Boys)が最近、知的障害のある子ども向けのサッカースクールを設立した。ステファノ君はここに入校した9人の中の一人だ。

「うちは本当にサッカー一家です。夫もこのクラブでプレーしていました。2人いる他の息子もです。長男はユースで4部リーグまで行きました」と語るステファノ君の母親マリサ・メロイ(Marisa Meroi)さん。「ステファノは兄たちのようになりたかったんです」

 ダウン症候群のステファノ君は「メッシが好き。(イグナシオ・「ナチョ」・)スコッコ(Ignacio Scocco)もね。僕はプレーが上手だよ。家族が大好き。ママも大好き」と言う。スコッコ選手は往年のニューウェルスのトップストライカーだ。さらにステファノ君は、このクラブこそ「僕のすべて」だと続けた。

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから北へ約300キロにあるロサリオ(Rosario)市にニューウェルスの本拠地はある。

 ニューウェルスのユニホームに身を固めたステファノ君は、同じく知的障害のある6歳から12歳までの8人の子どもに加わり、トップチームが使っているグリッファ・スポーツセンター(Griffa Sports Center)に集まる。

 同様の取り組みを始めたクラブは他にもあるが、ニューウェルスの場合は、週1回のトレーニングが無料で受けられる。

 練習中、親もコーチに加わって子どもの手を取り、ボールさばきの練習を手伝うこともある。キーパーのいないネットにシュートを入れ、大喜びする子どももいる。

 ステファノ君は巧みな、天性のサッカー選手だ。

「ステファノは特別な支援が要らない子どもたちのクラブでもプレーしてます」と母親のマリサさん。「今は、ここで夢中です。こんな時代に、いろいろな子どもが参加できるスクールがあるなんて素晴らしいことです」