【4月29日 AFP】メキシコ首都メキシコ市で28日、市内に残存するアステカ(Aztec)の神殿の中で最も重要とされるテンプロ・マヨール(Templo Mayor)を保護する屋根の一部が、ひょうを伴う嵐で倒壊した。関係者らが明らかにした。

 テンプロ・マヨールを含むメキシコ市の歴史地区は、1987年に国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録されている。同地区は新型コロナウイルス対策として閉鎖されていたが、事故の前日に再開されたばかりだった。

 倒壊したのは、テンプロ・マヨールを保護するために設置された、アクリル板と金属で作られた屋根。遺跡そのものへの被害の詳細は現時点では明らかになっていないが、考古学者らは深刻な被害はないとみている。

 地元自治体によると、豪雨による屋根の一部倒壊により1人が負傷したが、入院の必要はなかった。

 14世紀に建設され、15世紀にかけて改築を重ねたテンプロ・マヨールはアステカの信仰の中心地で、多数の人間のいけにえがささげられたとされる。

 1521年、スペイン人がアステカの首都テノチティトラン(Tenochtitlan)を制圧し、植民地として街を再建した際に、広大なテンプロ・マヨールも破壊された。1914年に遺構が発見され、1970年代に本格的な発掘作業が行われた。(c)AFP