【4月29日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は就任100日目を翌日に控えた28日、議会上下両院の合同会議で施政方針演説を行い、冒頭で「米国は再び動き出した」と宣言した。

 また、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた中流層と「忘れられた」労働者らの生活を立て直すため、数兆ドル(数百兆円)の予算が必要だと議会に訴えた。

 全米でプライムタイムに放映された演説でバイデン氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)、世界大恐慌(Great Depression)以来最大の不況、南北戦争(American Civil War)以来最悪の民主主義への攻撃という危機にある米国を、自分は引き継いだと回想。しかし就任から100日で「米国は再び動き出したと報告できる」と述べた。

 新型コロナウイルスとの闘いでは、成果を挙げているワクチンの集団接種を称賛。しかし、すぐにこの国家的努力を、パンデミックで打撃を受けた経済の再建と「第2次世界大戦(World War II)以降最大の雇用創出計画」による不平等解消へ向ける必要があると強調し、自身の政策はこれまで無視されてきた労働者階級にチャンスを与えるものだと述べた。

 バイデン氏は富裕層への増税で財源を確保し、早期教育、保育、高等教育に資金を投入する1兆8000億ドル(約196兆円)規模の「米国家族計画(American Families Plan)」が世論に支持されることを期待している。財源確保のため富裕層への税率は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下で決まった現行の37%から、以前の39.6%に戻ることになるが、実現には深く分裂している議会での承認が必要となる。

 外交では、中国やロシアとの対立は求めないが、両大国に対し毅然(きぜん)とした態度で臨むことを約束した。

 バイデン氏は、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席との大統領就任後初の電話会談について触れ、2時間に及んだ会談の中で「競争は歓迎するが、衝突は求めていない」と伝え、「われわれはあらゆる方面で、自国の利益を守るということを明確にした」と明らかにした。

 さらにバイデン氏が「わが国は欧州で北大西洋条約機構(NATO)と行っているのと同じように、インド太平洋地域においても強力な軍事的プレゼンスを維持すると習近平氏に伝えた──紛争を起こすためではなく紛争を防ぐためだ」と述べると、議場から拍手喝采が上がった。(c)AFP/Sebastian Smith/Shaun TANDON