【4月28日 AFP】韓国の電機大手サムスン電子(Samsung Electronics)は28日、昨年死去した李健熙(イ・ゴンヒ、Lee Kun-Hee)会長の遺族が相続した遺産について、相続税が12兆ウォン(約1兆1700億円)を超えると発表した。納付額としては、韓国のみならず世界的にも最大規模となるという。遺産のうち、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やクロード・モネ(Claude Monet)らの作品は寄贈される予定。

 李健熙会長は昨年10月、78歳で死去した。韓国一の富豪だった同氏の遺産総額は22兆ウォン(約2兆1400億円)と推定されている。

 韓国の相続税法は厳しく、税率も高い。

 サムスンは発表で、遺族は「相続に関連し12兆ウォン以上を納税する予定で、これは故李会長の全遺産を合わせた額の半分以上に相当する」とし、「国内外で過去最大規模の納付額となる」と説明した。

 遺族は今月から6回に分割して納付するという。遺族には贈賄や横領などの罪で服役中の故李会長の長男、李在鎔(イ・ジェヨン、Lee Jae-yong)副会長も含まれる。

 発表によると、遺産にはサムスン電子やサムスン生命保険(Samsung Life Insurance)、サムスンC&T(Samsung C&T)の株式や不動産などが含まれる。

 また、骨董(こっとう)品や美術品のコレクションもあり、その価値は総額2兆~3兆ウォン(約2000億~3000億円)に上ると報じられている。

 サムスンは、コレクションのうち約2万3000点を寄贈する予定で、うち国宝に指定されている14点は国立中央博物館(National Museum of Korea)で展示されるとしている。

 ピカソやモネに加え、マルク・シャガール(Marc Chagall)、ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)、ジョアン・ミロ(Joan Miro)、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)の作品も、国立現代美術館(National Museum of Modern and Contemporary Art)に寄贈される。

 さらに、医療支援のため1兆ウォン(約1000億円)を寄付し、うち半額は韓国初となる感染症専門病院の建設に充てられる計画。(c)AFP