■18歳になるのを恐れる子どもたち

 その次が収容所だ。

「収容所が建てられ、数か月後にはウイグル人たちが連行されて行った。抵抗も争いも起きなかった。監視態勢が厳しく、みんな圧倒されてしまっていた」とゲイリーさんは言う。

 ウイグル自治区での襲撃をきっかけに設けられた収容所について、中国政府は、イスラム過激派からウイグル人を遠ざけるための職業訓練センターだと説明している。収容所の一つは、夫婦の家のすぐ先にも建設された。有刺鉄線の付いた高さ約4.5メートルの塀に囲まれた施設には、監視カメラが設置され、見回りも行われていたとゲイリーさんは話す。

 また、「(当時)15歳だった息子の友人の何人かは、もうすぐ18歳になるという年頃で、みんなおびえていた。18歳で成人となるため、今度は自分たちが収容所に連れて行かれるのではと恐れていた」と述べ、「イスラム教徒だと思われないように」喫煙や飲酒をしている自分の写真をソーシャルメディアに投稿し始める若者も増えたと説明した。

 だが、どこでも監視されている状況に自分たちも慣れていったとアンドレアさんは言う。当時5歳の娘は、友達と人形で遊んでいる時に、空想で魔法の国に入る際の検問を当たり前のように取り入れていたと話す。

 ビザ(査証)の規制が強化されてウイグル自治区から出て行く外国人が増える中、夫婦も2018年にウイグルを離れた。

「あまりにも規制が多くて」とゲイリーさんは言う。1200万人のウイグル人と一緒に「巨大な刑務所の中で生活しているようだった」 (c)AFP/Michel COMTE