【4月28日 AFP】スペインのバルセロナ(Barcelona)で先月行われた屋内コンサート実験で、参加した観客5000人のうち、公演後に新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たのは6人だったとの結果が27日、発表された。ライブ音楽イベントの再開に向けた期待を高める結果だ。

 実験はちょうど1か月前の3月27日、バルセロナの屋内競技場「パラウ・サン・ジョルディ(Palau Saint Jordi)」で実施された。観客は全員、事前に集団スクリーニングと抗原検査を受けた。コンサート後には集団検査は行われなかったが、その後15日間で陽性反応が出たと申告した人は6人だけだった。

 実験に関わったバルセロナ近郊にある病院の感染病専門家ジョゼップ・マリア・リブラ(Josep Maria Llibre)氏は記者会見で、「コンサート中に感染が起こったことを示唆するものはない」と明言。大規模な集団感染が起きる「スーパースプレッド(超拡散)」現象の場とはならなかったとの見解を示した。

 コンサートにはスペインの人気インディーズロックバンド「ラブ・オブ・レズビアン(Love of Lesbian)」が出演。新型コロナウイルスの流行発生以降の欧州で最大の屋内ロックコンサートとして注目を集めた。

 観客の中に新型コロナウイルスワクチン接種を受けた人はいなかった。観客はFFP2規格のマスクを着用し、混雑を避けるためトイレの定員は制限されたが、席の指定や、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の義務はなかった。パラウは1万7000人を収容できるが、観客数は5000人に制限された。

 リブラ氏によると、陽性反応が出た6人のうち4人は、コンサート中に感染したわけではなかったことが確実とみられている。コンサートでの感染対策策定に関わったウイルス学者のボリス・レボロ(Boris Revollo)氏は、残りの2人がコンサートで感染した可能性は完全には否定できないものの、そうでなかった可能性は「非常に高い」と述べた。

 バルセロナのジャウマ・コルボニ(Jaume Collboni)副市長は実験結果について、新型ウイルス対策の制限緩和と文化活動の再開が可能であることを示すものだとの見解を示した。(c)AFP