【4月28日 People’s Daily】「もう呑白村を離れられない!」。35歳のドジワンムさんは小さい頃から都市に憧れて、大人になってからもよく外で頑張っていた。しかし数年前、彼女は帰省すると「たとえ追い払われたって離れたくなくなった」。

 ドジワンムさんが心を動かされたのは、故郷の素晴らしい様子だ。呑白村は中国チベット自治区(Tibet Autonomous Region)林芝市(Linzhi)米林県(Milin)にあり、ヤルツァンポ川の青く澄んでいる水面(みなも)を近くで見られるし、ナムチャバルワ峰の一面真っ白な雪を眺めることもできる場所だ。ここは標高が比較的低いので、山河が美しく、林や草が生い茂っていて、観光客が殺到している。

 2016年、村の両委員会(村党支部委員会と村民委員会)の支持のもとで、ドジワンムさんは率先して村民も出資した農民観光協同組合を創設した。2019年7月に、民宿の工事が終わり、営業を開始した。その年には186万元(約3100万円)の収入を得た。2020年、コロナ禍の影響にもかかわらず、民宿の1年間の純収入は130万元(約2170万円)に達した。

 林芝市では、呑白村の話は異例ではない。過去5年間、同市は国家生態文明建設モデル都市、国家全域観光モデル地区づくりを大いに推進していた。観光客数は3200万人を超え、観光収入は240億元(約4000億円)を超えた。青々とした緑の山河は林芝の大衆の金山・銀山になった。

「雪山や樹海、雲の大波や五色の雲気、山には、四季がはっきりしていて、多くの観光スポットがある。巴宜区(Bayi)魯朗鎮(Lulang)はかつて営林場だったが、20世紀末のチベットの全面的な伐採禁止に伴い、同鎮は発展方式の転換を加速し、エコツーリズムに注力するようになった。2017年、広東省(Guangdong)のカウンターパート支援のもと、魯朗国際観光小鎮は営業を開始した。

 魯朗鎮ザシガン村の村民のザシピンツォさんの民宿は、人気観光スポットとなった。部屋の中には各地域の「旅友」が残した旗をかけている。テーブルガラスの下にはびっしりと名刺が挟まれている。「今、魯朗の名はよく知られていて、多くの観光客が名を慕ってやってくる」と、ザシピンツォさんは語った。彼によると、町には多くの星付きホテルが開設され、観光客のニーズに応えているという。

 波密県(Bomi)玉普郷米堆村は昨年、数軒の伝統的な建築を修復するため、150万元(約2500万円)を投資した。その年の6月、全村の53世帯の163人が共同出資し、波密県美川観光文化会社を設立した。同村は250頭の馬を集め、乗馬体験エリアを設けた。貧困脱却者のザシツワンさんは「乗馬と見学を通じて、氷河の環境を保護することもできるし、観光客に民族風情を体験させることもでき、村人たちの増収にもつながった」と語った。氷河観光は農村の振興を強力に促進した。

 林芝市委員会副書記兼常務副市長、広東省の第9陣のチベット支援工作隊のチームリーダーの劉光明(Liu Guangming)さんは、「景色とは、しっかりと育てていけば、充実した生活をも生み出すものだ。林芝市は生態観光資源の優位にしっかり根差して、スマートホテル、スマート民宿などの観光施設の建設を推進することで、観光産業の最適化・アップグレードを促進し、産業の発展水準を絶え間なく向上させていく」と述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News