【5月2日 AFP】サウジアラビア西部の都市タイフ(Taif)では、毎年春になるとバラの花が咲き誇り、広大で色味のない風景が鮮やかなピンク色に染まる。

 バラは4月になると摘み取られる。イスラム教徒が巡礼に訪れる聖地メッカ(Mecca)のカーバ(Kaaba)神殿の外壁を清める精油をつくるためだ。今年の収穫時期は、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」と重なる。

 タイフは「バラの都」として知られており、年間約3億のバラが咲き誇る。バラ園は800以上あり、多くが訪問客に開放されている。

 期間中、ビン・サルマン(Bin Salman)農園では毎日、バラの木の手入れが行われ、バラ水や精油をつくるために花の収穫が行われる。これらは化粧品や料理の材料としても重宝されている。

 農園では花の収穫や仕分け、計量が並行して進められる。その後、花は蒸留され、精油がつくられる。

 ビン・サルマン農園を営むハラフ・トウェイリ(Khalaf al-Tuweiri)氏はAFPに「バラの花を容器の水がなくなる寸前まで火にかけます。これには30~35分かかります」と語った。「その後、蒸留の工程が始まるまで15分から30分間、火を弱めます。蒸留には8時間ほどかかります」

 ガラス瓶の上に精油が浮かぶと、抽出作業に入る。精油は注射器で吸い取られ、さまざまなサイズの小瓶に詰められる。価格は一番小さいもので、400サウジ・リヤル(約1万1600円)だ。

 精油は、巡礼のために毎年サウジアラビアを訪れるイスラム教徒の間で人気がある。イスラム美術では古くから、草花をモチーフにした模様が用いられている。(c)AFP/Rania Sanja