■「政府は怠慢」

 サウジアラビアの支援を受けるイエメン政府は、イランが後押しするフーシ派と6年にわたって戦ってきた。そこに追い打ちをかけるようにコロナが流行。国連が世界最悪の人道的危機と呼ぶ国内状況の中、医療制度は機能不全に陥っている。

 これまでのコロナの累計感染者数は6200人超、うち1200人あまりが死亡している。しかし、検査施設の不備や受診・治療の遅れ、医療センターへのアクセスの難しさなどを考えると、公表された数字は実際よりもはるかに少ないと国連は指摘する。

「なぜ政府は感染拡大を止めるために行動しないのか?」。墓地で抗議活動をするタイズ住民のバナーが訴える。

「政府は怠慢や欠陥だらけ。役割を果たしていません」とデモに参加していたアハメド・ブカリ(Ahmed al-Bukari)さんはAFPに語った。

「コロナ流行第1波のときは、いくらかは対策があったが、それらも基準を満たしていませんでした」。さらに厳しい第2波では「タイズ市当局は人々を守るという責任を果たしていません」と言う。

 国際支援による新型コロナワクチンの配布第1弾をイエメンが受け取ったのは、3月31日。国のコロナウイルス対策委員会が公衆衛生上の「非常事態」を警告し、部分的な外出禁止を呼び掛けたのは、その1週間前だった。

 映像は3日撮影。(c)AFP