動画:イエメンの墓掘り人、コロナで忙殺 ブルドーザーも出動
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【4月29日 AFP】中東イエメンの第3の都市タイズ(Taez)。その山岳地帯の山あいに、数十もの新しい墓が慌ただしく掘られている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者急増に対処するためだ。
多くはマスクも手袋もしていない男性たちが連なり、新しい墓穴が並ぶサイード(Al-Saeed)墓地に次から次へとひつぎを運び入れる。そのそばから、さらに会葬者と遺体を乗せたトラックが到着する。
このイエメン南西部の都市に暮らす人々は、死者の埋葬に一苦労している。内戦で引き裂かれた同国は、コロナウイルス流行と闘う備えができていない。
数年にわたって反政府武装勢力フーシ派(Huthi)とその狙撃兵に包囲されてきたタイズ。墓掘り人らも常に脅威にさらされ、作業を手早く進められない。コロナ犠牲者埋葬の際の外科用ゴム手袋着用など衛生対策は後回しだ。
4月上旬のある日、伝統衣装に身を包んだ男性たちが、掘ったばかりの墓穴を囲んで葬列を待っていた。背後では、ごう音を立ててブルドーザーが作業中だった。
「毎日、遺体を9~10体引き受けている」と墓地の職員、シャバン・カエド(Shaban Qaed)氏はAFPに語った。「市場で人を集めて掘るのを手伝ってもらったが、新しい墓の需要に付いていけません。だから、ブルドーザーを借りるしかありませんでした」
墓地のそこかしこでは黒装束の女性らが座り、イスラム教の聖典コーラン(Koran)の一節を読み上げていた。
国連(UN)によると、貧困国イエメンの新規感染者数はここ数週間で倍以上になったという。