【4月28日 AFP】ロシアと中国は今年3月、月に宇宙ステーションを共同建設する覚書を交わした。フィンランドの通信機器大手ノキア(Nokia)は、月面に携帯電話網を構築する契約を米航空宇宙局(NASA)と結んでいる。ここで月を目指す各国による新たな開発競争について見てみよう。

■中国の大きな飛躍

 中国国家航天局(China National Space Administration)とロシア国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)は、月の表面または周回軌道上に「実験研究のための複合施設」の建設を目指している。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は、有人宇宙ステーションの来年完成を打ち出しており、中国の「宇宙の夢」に拍車を掛けている。

 2019年には、中国の無人探査機「嫦娥4号(Chang'e-4)」が月の裏側に着陸。2020年12月には「嫦娥5号(Chang'e-5)」が月の表側に着陸し、月面に中国国旗を掲げた後、岩石と土壌のサンプルを地球に持ち帰った。

 月の土壌サンプルの持ち帰りは、1976年の旧ソ連の月探査機を最後に、実に40年以上ぶりのことだった。

■ロシアのルナ計画

 ロシアは、月に探査機を送る「ルナ計画(Luna Mission)」を向こう5年間で3回計画している。主な目的は鉱物資源の調査活動だ。

 このうちの1機は月を周回して資源を探索し、別の1機が氷、ヘリウム3、炭素、窒素などを試掘する予定。

■NASAのアルテミス計画

 米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領はNASAに対し、2024年までに月面への有人着陸を復活させるよう命じた。だが、NASAは必要とされる莫大(ばくだい)な予算の承認をまだ米議会から得ておらず、この期限には間に合わない可能性が高い。

 この「アルテミス計画(Artemis Program)」は「月から火星へ」と銘打たれ、今年2月には火星に探査車を着陸させた。この計画でNASAは、月を火星ミッションの中継基地と考えており、携帯電話の第4世代(4G)ネットワークの構築契約をノキアと結んでいる。

 だが、トランプ氏に代わって政権に就いたジョー・バイデン(Joe Biden)大統領はこれまでのところ、計画の第1行程に対する支援しか表明していない。