【4月23日 AFP】フランス軍特殊部隊の一員としてアフリカ・マリの対テロ作戦に参加し、勇敢な行動で人命を救った軍用犬「ルク(Leuk)」に23日、英国の動物医療慈善団体PDSAから、戦場で活躍した動物をたたえる最高勲章「ディッキン勲章(Dickin Medal)」が贈られた。

 幸運を呼ぶ犬として「ルク・ラ・シャンス(Leuk la Chance)」の愛称で兵士たちに親しまれたルクは2019年5月2日、身を隠していたイスラム過激派戦闘員を制圧する作戦中に死んだ。5歳だった。死骸は戦死者と同様に仏国旗に包まれて帰国し、儀仗(ぎじょう)兵に迎えられた。

 勲章は、2019年4月に行われた作戦で勇敢な行動に対して授与された。ルクは、厚い茂みに潜伏した武装勢力の戦闘員2人から仏軍部隊が攻撃を受けた際、「銃弾の飛び交う中を駆け抜け」て「容赦なく敵を攻撃し、それによって部隊は敵の無力化に成功した」とPDSAはたたえている。

 作戦の後半では、戦闘員1人を攻撃して陽動を行い、4人の無力化を支援。その後、爆発物の探索中に遭遇した戦闘員1人を制圧した。「ルクは敵に飛び掛かっただけでなく、5分以上も交戦した」とハンドラーを務めていた兵士は語っている。「そのおかげで私は今、あなたと話ができている」

 ベルジアンマリノアのルクは2013年生まれ。2年間の訓練を経て仏海軍のキフェル特殊部隊(Commando Kieffer)に配属され、爆発物の探知や敵を殺さずに制圧する任務に当たっていた。

 部隊は今年5月、ルクの死から丸2年を迎えるのを機に、戦場で命を落とした全ての軍用犬を顕彰する記念碑を建立する予定だ。

 ディッキン勲章は、PDSA創設者のメアリー・ディッキン(Maria Dickin)氏が第2次世界大戦(World War II)中の1943年に創設した勲章制度で、戦地に従軍した動物の非常に勇敢かつ献身的な行動をたたえる最高勲章。犬のほか、ハトや馬、猫にも授与されている。

 仏軍の軍用犬でディッキン勲章を授与されたのは、ルクが初めて。

 映像はルクの資料映像と資料写真。PDSA提供、撮影日不明。(c)AFP/Anna MALPAS