【4月28日 AFP】ミケランジェロ(Michelangelo)の彫刻「ダビデ像」が3Dプリンターで複製された。大理石の粉で仕上げられた複製はオリジナルと同じ大きさだが、重量は10分の1となった。作業は伊フィレンツェ(Florence)の工房で行われた。

 ルネサンス期の傑作であるダビデ像は、フィレンツェのアカデミア美術館(Galleria dell'Accademia)に置かれている。像のレプリカは、10月に開催されるドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai)で展示される予定だ。

 制作を担当したのは、スウェーデンの多国籍企業「ヘキサゴン(Hexagon)」グループのイタリアの技術者チーム。フィレンツェ大学が作業を監修し、仕上げには修復の専門家らが携わった。

 複製作業には大きな課題が伴う。高さ5.2メートルというその大きさもさることながら、ダビデ像は世界で最も有名な像の一つであるため、細部に至るまで最大の注意を必要とするのだ。

 だが、これまでのような型を用いる複製作業とは違い、3Dプリンターでは実際に像に触れる必要がなく、作業中の損傷リスクはほぼない。

 ヘキサゴン・イタリアのマーケティング担当、レビオ・バレッティ(Levio Valetti)氏は「われわれは像に触れることなく、光学機器を用いて像を数値化した」と説明し、「過去に作られたいかなるレプリカよりも正確に再現できた。型を用いたものよりも正確だ」と続けた。

 ミケランジェロのダビデ像は、1501年から1504年にかけて一つの大理石の塊から削り出された。モチーフとなっているのは、巨人ゴリアテ(Goliath)を投石器で倒した聖書の英雄ダビデだ。

 レプリカの材料はアクリル樹脂で総重量は台座と本体で550キロ。修復の専門家ら技術者が担当した仕上げの工程では、大理石の粉が使われた。(c)AFP