【4月23日 Xinhua News】中国科学院南京地質古生物研究所は21日、中国と米国の古生物学者がこのほど、中国湖北省(Hubei)宜昌市(Yichang)で、約5億5千万年前の風変わりな動物「ディッキンソニア」の化石を発見したと発表した。この古代生物は、人間の指紋に似た形態をしており、先カンブリア時代の代表的な動物とされる。研究者が中国で確実なディッキンソニアの化石を発見したのはこれが初めて。

 今回発見された化石は、石灰岩の中に保存されていた。標本としては不完全な状態だが、ディッキンソニアの目印となる横向きの体節などの形態的特徴が確認できる。

 研究を主導した同研究所の陳哲(Chen Zhe)研究員によると、これまでディッキンソニアはほとんどオーストラリアと東欧の一部地域で発見されてきた。先カンブリア時代の最も有名な生物の一つで、これに代表されるエディアカラ生物群は、同時代の動物の世界を切り開き、「カンブリア紀の生命大爆発の前触れ」と呼ばれる。

 陳氏は「今回、三峡地区の石灰岩からディッキンソニアの化石が見つかったことで、ディッキンソニアが強い環境耐性を持っていたことがいっそう裏付けられた。5億5千万年前の海の至る所で、活発に生息していた可能性がある」と語った。

 研究成果はこのほど、古生物分野の学術誌「Palaeoworld」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News