【4月22日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は21日、火星探査車「パーシビアランス(Perseverance)」に搭載した装置で、地球以外の惑星で初めて大気中の二酸化炭素から酸素を生成することに成功したと発表した。

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 NASA宇宙技術ミッション理事会のジム・ロイター(Jim Reuter)副理事長は、「火星で二酸化炭素から酸素に変える上で、重要な第一歩だ」と述べた。

 この実証試験は20日に行われた。使用された火星酸素現地資源利用実験装置(MOXIE)は、自動車のバッテリーほどの大きさの金色の箱で、パーシビアランスの右前方内側に搭載されている。

 MOXIEを発展させれば、有人火星探査への道が開けるかもしれないと期待されている。宇宙飛行士の呼吸用の酸素を生成するだけでなく、復路分の推進剤に使う大量の酸素を地球から運ぶ必要もなくなるからだ。

 MOXIEは1回目の運転で二酸化炭素分子を酸素と一酸化炭素に分解し、酸素5グラムを生成した。これは、通常の活動をする宇宙飛行士1人が約10分間で呼吸する量に相当する。1時間当たり最大10グラムの酸素を生成可能で、実験を重ねて生成量を増やしていくという。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)で設計されたMOXIEは、動作に必要な800度の高温に耐えられるよう、ニッケル合金などの耐熱材料でできている。

 火星で酸素を生成するには、地下から採取した氷を電気分解するよりも、大気の約96%を占める二酸化炭素を分解する方が、実現は近いかもしれない。(c)AFP