【4月21日 時事通信社】米戦略軍のリチャード司令官は20日、上院軍事委員会の公聴会で、米国が保有する核兵器の老朽化は深刻だと警鐘を鳴らし、中国やロシアに対する抑止力を維持するため、核兵器の近代化を後押しするよう求めた。バイデン政権は核近代化計画を見直す方針を示しており、米軍内部や保守派からは抑止力低下を懸念する声が出ている。

 リチャード氏は「米国は史上初めて、核保有国であり、戦略的に対等な敵対国でもある二つの国(中ロ)に同時に向き合っている」と指摘。中国は今後10年程度で保有する核兵器の数を倍増させる勢いだとして、「現時点では地域的に核運用戦略を実行する能力を有しているにすぎないが、近い将来は大陸をまたいでそれを実行できるようになるだろう」と警告した。

 その上で、ロシアも既に核戦力の近代化が8割方完了していると強調。一方の米国は近代化が始まってもいないとして、「冷戦の遺物である核兵器をひたすら延命しながら、与えられた戦略を実行し続けることはできない」と述べた。

 米国の核抑止力は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機を「3本柱」としている。特に、1970年代に配備されたICBM「ミニットマン3」は老朽化が進行。一部の部品は製造がストップし、延命措置の費用もかさんでいる。

 ただ、バイデン政権は「持続可能な核関連予算」を目指し、近代化に要する膨大な費用の圧縮に意欲を示す。政権内で現在行われている「核態勢の見直し」でも、核の使用方針の転換や核軍縮が打ち出されるとみられている。

 リチャード氏は「ICBMがなくなれば、爆撃機を常時出撃できる警戒態勢に置かなければならなくなる」と説明。「米国に対する脅威が拡大する中、(核兵器の)寿命の限界と核抑止力に対する過小投資の蓄積により、われわれは既に運用上の自由度が残されていない状況にある」と窮状を訴えた。(c)時事通信社