【4月27日 AFP】かつて珍重され、数十年前に人々の前から姿を消したコーヒー品種が西アフリカで再発見されたとする研究が発表された。その味わいはアラビカ種の最高級グレードにも劣らず、気候変動に対する耐性はアラビカ種より高いという。

 19日付の英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に掲載された論文によると、再発見されたステノフィラコーヒーノキ(Coffea stenophylla)という品種は、生態系の変化で多くの野生種の絶滅が危惧される中、高品質コーヒーの未来を支えるかもしれないという。

 現在、知られているコーヒー品種は100種類以上あるが、世界のカフェイン需要の大半を満たしているのは上質とされるアラビカと、それよりも粗いとされるロブスタの2種だ。

 気候変動は、世界の数千億ドル(数十兆円)規模のコーヒー市場や、コーヒー生産によって生計を立てているおよそ1億人にとって深刻な問題だ。

 アラビカ種はエチオピアや南スーダンの冷涼な熱帯高地が原産で、年平均気温19度前後を好む。23度前後まで耐えられるロブスタ種よりも地球温暖化に弱いとされる。

 一方、ステノフィラ種は、ロブスタ種と同様の条件で生育可能で、しかも平均気温24.9度まで耐えられると同論文は述べている。

 同研究を率いた英キュー王立植物園(Royal Botanical Gardens, Kew)コーヒー研究主任のアーロン・デービス(Aaron Davis)氏は、耐性と風味を兼ね備えたコーヒー種を見つけたことを「一生に一度の科学的発見」と呼んだ。「高品質コーヒーの未来にとって必要不可欠な種です」

 ステノフィラ種は、ギニア、シエラレオネ、コートジボワール一帯の固有種で、1800年代および1900年代初期の記録によるとアラビカ種より上質とみなされ、その人気はフランスのカフェにまで及んでいたという。

 だが、20世紀に入ると飲まれなくなり、1954年より後は記録から全く消えてしまった。2018年にシエラレオネで自生している同種を科学者らが発見。温度耐性と風味の調査を始めた。

 昨年はネスプレッソ(Nespresso)などコーヒー販売大手の専門家を招き、ブラインドテイスティング会が行われた。

「植物らしい香りがあり、審査員全員が自分たちの知らない風味だと感じました」とテストを率いたフランス国際農業開発研究センター(CIRAD)の研究者デルフィーヌ・ミューレ(Delphine Mieulet)氏はAFPに語った。「最高のアラビカのように、バラやニワトコの花、それにライチの香味もありました」

 ミューレ氏は、ステノフィラ種が数年後には流通可能になると予想した。