■「技術的な変化」

 自動運転は今なお大部分が実験段階にあるが、中国は政府の支援や最新のインフラ、5G(第5世代移動通信システム)導入を他国に先駆けて進めていることから、この分野でリードするというのが大方の見方だ。

 中国のEVメーカー、上海蔚来汽車(NIO)の創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)の李斌(William Li、ウィリアム・リー)氏は、上海モーターショーは中国の変化のスピードを示していると指摘する。

 わずか4年前の中国はまだ、従来の内燃エンジン搭載車が主流を占めていた。「ところが今では、会場のどのブースでもEVや新エネルギー車が展示されている。これは非常に大きな変化で、その大きな原動力となっているのが技術的な変化だ」と李氏はAFPに話した。

 このところの中国に活気を与えたのはEV大手テスラ(Tesla)だ。テスラは2019年、上海に新たに工場を建設し、製造したEVの4分の1を中国で販売。世界はもちろん、中国でも最も売れているEVブランドとして中国市場を活性化させ、競合他社をリードしている。

 新規参入企業にとっての課題は少なくない。自動車製造のノウハウがないため、テスラのように一から独自に車を造るのではなく、既存のメーカーと提携して車の「頭脳」を提供する代わりに提携先に「本体」を造ってもらわざるを得ない場合もある。世界的に半導体が不足している状況も、特に自動車部門にとっては打撃だ。李氏自身も、半導体不足のせいで4月初旬に5日間、NIOの生産ライン停止に追い込まれたことを明らかにした。

 一方、EVに関する中国の政府目標については、控えめ過ぎるとの見方を示す。

「私は、それよりずっと楽観的な見通しを持っている」と李氏。「2030年までには、中国で販売される新車の90%以上がスマートEVになると思う」と続けた。(c)AFP/Dan Martin