【4月20日 時事通信社】カリブ海の島国キューバで1959年に起きた革命から続いた「カストロ時代」が終わり、ディアスカネル大統領(61)ら「革命を知らない世代」が国家体制のかじ取りを任された。同氏は唯一の政党である共産党の党大会最終日の19日、ラウル・カストロ氏(89)から党トップの第1書記を継承。ラウル氏は静かに第一線を去った。

 「私の第1書記としての仕事は、成就したことへの満足感と、国の将来に対する確信と共に終わった」。ラウル氏は党大会初日の演説に安堵(あんど)感をにじませた。

 ラウル氏は、兄の故フィデル氏や故チェ・ゲバラ氏らと共に革命を成就。カリスマ性に秀でたフィデル氏をナンバー2として実務面で補佐してきた。軍のトップとして、60年にわたり目と鼻の先にある巨大な米国からの過酷な圧力をはね返して冷戦を生き延び、国内では反体制派を厳しく弾圧。2018年に忠実な後継者と認めたディアスカネル氏に国家評議会議長職を引き継いだ後も、高所から目を配ってきた。

 そのディアスカネル氏は「革命の継続」を最優先に掲げながらも、課題だった経済改革を着実に推し進めた。19年2月に憲法を改正し、社会主義や共産党一党独裁は維持したまま、私有財産や市場原理を容認。通貨ペソの切り下げや二重通貨制の廃止、自営業認可の大幅拡大など、イデオロギーと現実の段差を埋めることに腐心した。

 ラウル氏は演説で、ディアスカネル氏を「思慮深く選ばれた若い革命家であり、より高い地位に上る資質をすべて備えている」と称賛。国と党を託すことを宣言した。ディアスカネル氏も最終日の演説で「革命における最も革命的な部分は、いかなる時も党を守ることだ。同じように、党も革命の最大の守護者であるべきだ」と強調し、内外にキューバ型社会主義を守り抜くことを誓った。

 ただ、権力がスムーズに移行したとはいえ、キューバを取り巻く内外の環境は厳しさを増している。国内経済は米国の60年にわたる制裁で疲弊し切っている上に、新型コロナウイルスで頼みの観光収入も激減した。

 インターネットなどの発達により情報や世論のコントロールも難しくなりつつある。カストロ兄弟の威光と国民の忍耐、思想統制によって生きながらえてきた体制が今後、カリスマ性に欠けるディアスカネル氏の下で揺らぐ可能性も否定できない。(c)時事通信社