【4月20日 時事通信社】英史上最高齢の君主であり、在位期間最長のエリザベス女王が21日、95歳の誕生日を迎える。70年以上連れ添った最愛の夫フィリップ殿下を亡くし、週末に葬儀を終えたばかり。高齢にもかかわらず特別な健康不安は伝えられないが、夫の不在は心に「大きな空白」(次男アンドルー王子)を残したとされる。精神的支柱だった夫の死を女王がどう乗り越えるか、国民は気持ちに寄り添いつつ静かに見守っている。

 女王の誕生日には通常、祝砲など祝賀行事が催される。しかし、今年は殿下の死去を受けて女王を含む王族は服喪中。緩和されてきたとはいえ新型コロナウイルス対策の規制下でもある。95歳という節目の誕生日を、女王は主な居住先であるロンドン近郊のウィンザー城内で静かに過ごすとみられる。

 女王は義務と責任を誠実に実行することで知られ、夫を亡くしても数日後には一部公務に復帰。17日の殿下の葬儀でも、短い距離だが、しっかりした足取りで会場まで歩き、普段通りの気丈な姿を見せた。

 1947年の結婚以来、公私共に頼りにしてきた伴侶の死が相当な衝撃だったことは疑いない。私的なことはほとんど発言しない女王だが、97年の結婚50周年の演説では、夫について「長年の間私の力、そして支えとなってきてくれた」と語った。夫の「不変の愛と助力」が公務を全うする力となってきたとも明かし、夫婦の強い絆が示された。その「支え」を失ったことが、女王の精神と健康状態にどのような影響を与えるか、懸念する声も多い。

 女王は過去に「生涯を国民にささげる」と述べており、生前退位はないとされてきた。ただ、95歳という年齢に加え伴侶を失ったことで、今後「緩やかな摂政制」(インディペンデント紙)への移行は避けられないとも報じられる。

 摂政制では、法に基づき、長男チャールズ皇太子が実質的な国王となり、女王は事実上引退することになる。近年は皇太子らが公務を代行することが多く、事実上の「移行」は始まっていると解釈する見方もある。一方で「生涯現役」を貫いてほしいと願う意見も依然根強い。(c)時事通信社