【4月25日 AFP】シンガポールの研究チームが植物と交信するハイテクシステムを開発した。これにより、遠隔操作できる食虫植物の葉を装備した「ロボット植物」や、病気になると自ら知らせる農作物が現実のものとなるかもしれない。

 シンガポール・南洋理工大学(NTU)の研究チームは、草木から自然に発せられる微弱な電気パルスを測定できる電極を植物に接続。この技術を利用し、スマホアプリのボタンを押すとハエジゴクの二枚貝のような葉がパタンと閉じるようにした。次に、ハエジゴクの葉をロボットアームに取り付け、太さ0.5ミリの針金1本を持ち上げたり、落下する小さな物体をキャッチしたりすることに成功した。

 この技術はまだ初期段階にあるが、ゆくゆくは、硬いロボットアームでつかめないような壊れやすい物でも持ち上げられる高度な「植物ベースのロボット」の開発に利用できるかもしれないと研究チームは期待している。

 このシステムでは、植物が発する信号も感知できるため、農作物に生じている問題に早い段階で気付きやすくなることも考えられる。

 植物が微弱な電気信号を発しているのは、科学者らの間で以前から知られていたが、植物の表面が平らではなく、ろう状の物質で覆われているため、センサーを効果的に取り付けるのは容易ではない。

 だが、NTUの研究チームが開発した薄い膜状の柔軟電極は、植物の表面に密着し、信号をより正確に感知できる。

 電極の取り付けには「感温性ゲル」が使われている。感温性ゲルは低温では液体だが、室温ではゼリー状になる。

 映像は3月24日撮影。(c)AFP/Catherine Lai