【4月20日 Xinhua News】中国広東省(Guangdong)の広州市文物考古研究院はこのほど、同市増城区の金蘭寺遺跡で実施した発掘調査で新石器時代後期から戦国時代にかけての墓32基が見つかり、これまでに古人骨30体が出土したと明らかにした。

 同研究院の易西兵(Yi Xibing)院長によると、3月末までに約500平方メートルの先史時代の貝塚を発見。墓32基(新石器時代後期30基、戦国時代2基)、各時代の灰坑38カ所、柱穴941カ所、灰溝21本、井戸3本、壁1カ所を発掘し、各種遺物165点(組)と貝殻や魚骨、ブタの骨などの動物標本が出土した。墓の出土は今回の調査での重要発見だという。

 易氏は「珠江河口から嶺南地域で新石器時代後期の墓から保存状態の良い人骨が出土したのは珍しく、先秦時代の珠江河口地域の人種形態、人の移動と交流を復元し、研究する上で重要な意義を持つ。珠江デルタの地理環境の変化や先秦時代の珠江河口地域の人類と自然環境の関係、新石器時代後期の環珠江河口地域の人類の生産生活と文化発展を研究するための重要な実物資料にもなる」と説明した。

 易氏は、30体の人骨が骨格や歯の形態学、古病理学、古DNA分析、同位体分析などに豊富な基礎資料をもたらすと指摘。先史時代華南地区の古人類のミクロ進化と中国における古代型ホモサピエンスの進化を研究、解釈し、同時代同地区の人の集団の移動と交流、生業様式の変化などを明らかにする上で重要な学術的意義を持つと述べた。

 金蘭寺遺跡は増城区石灘鎮金蘭寺村にあり、1958~61年に発掘調査が3回行われている。今回の発掘は、広汕高速鉄道(広州ー汕頭)建設に合わせ、同研究院が2020年11月から実施していた。(c)Xinhua News/AFPBB News