【4月17日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は16日、仏独両首脳とオンライン形式で行った会談で、欧州連合(EU)が導入を目指す「国境炭素税」を批判した。中国国営メディアが報じた。

 国境炭素税は、気候変動対策が進んでいないEU域外からの安価な輸入品を対象に課され、EU企業を保護する狙いがある。欧州議会は14日、同税導入への支持を表明していた。

 EUは2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとし、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の目標達成を目指す成長戦略「グリーンディール(Green Deal)」を打ち出しており、国境炭素税はその主要政策の一つとみられている。

 習国家主席は16日、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相との気候変動会議に出席。国営の中国中央テレビ(CCTV)によると、習氏はこの場で「気候変動対策は共通の責務であり、(中略)地政学的な交渉の切り札になったり、他国への攻撃や貿易障壁のために使われたりするべきではない」と述べた。

 習氏は先進国に対し、「排出量削減の模範」を示すよう要請。技術支援や環境事業への出資増加を通じ、途上国の気候変動対策を支援するよう訴えた。

 中国では現在、ジョン・ケリー(John Kerry)米大統領特使(気候変動問題担当)が上海を訪問し、世界最大の温室効果ガス排出国である同国から米国の環境政策への支持を取り付けるべく協議に臨んでいる。

 ケリー氏は中国高官らと会談のため17日まで滞在する。ジョー・バイデン(Joe Biden)政権の高官による中国訪問はケリー氏が初めて。(c)AFP