【4月15日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は14日、ヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2020-21)の試合で人種差別発言をしたスラビア・プラハ(Slavia Prague)のDFオンドジェイ・クーデラ(Ondrej Kudela)に10試合の出場停止処分を科した。スコティッシュ・プレミアシップ(1部)のグラスゴー・レンジャーズ(Glasgow Rangers)は、人種差別の被害を受けたグレン・カマラ(Glen Kamara)は処分を歓迎していると発表した。

 なお、3月18日にレンジャーズの本拠地アイブロックス・スタジアム(Ibrox Stadium)で行われた試合後、スタジアムの選手用通路でクーデラに「暴行」したとして、カマラには3試合の出場停止処分が言い渡されている。

 また、この試合で相手GKオンドジェイ・コラージュ(Ondrej Kolar)に対する危険なプレーで退場となったレンジャーズのFWケマー・ルーフ(Kemar Roofe)の出場停止処分は4試合と発表された。ルーフが高くあげた足が顔面に入ったコラージュは、頭蓋骨を骨折している。

  レンジャーズは発表文で「オンドジェイ・クーデラに科された出場停止を歓迎する。グレン・カマラの正当性が証明されただけでなく、UEFAが科した(出場停止の)試合数は重大な人種差別発言があったことを強調している」と記した。

「しかしながら、われわれの選手2人(グレン・カマラとケマー・ルーフ)に対する処分は厳しいと考えている。われわれは両選手の出場停止に対する不服申し立てを前提として、UEFAに説明を求める文書を送付した」

 カマラの担当弁護士アーマー・アンワー(Aamer Anwar)氏は、人種差別行為でクーデラへの処分が最小限にとどまった場合「人種差別を深刻に捉えているというUEFAの主張を根底から覆す」と警告していた。

 一方、この試合を2-0でものにして2戦合計スコア3-1で準々決勝に進んだスラビア・プラハは、レンジャーズの主張を一貫して否定しており、今月上旬には選手通路内での暴力行為でカマラを刑事告発する意向を示していた。

 弁護士を通じて発表された文書でクーデラは「UEFAの規律委員会が調査官と異なる結論に達したことに困惑している。彼は人種差別行為を立証する確かな証拠はなかったと言っていた。自分は今でもそれを否定している」と、無実の主張を繰り返した。

「グレン・カマラのところに行って、彼に話しかけたのは間違いだったことは認識している。試合中で感情が高ぶっていて抑えられなかった。申し訳ない」

 クーデラの出場停止はUEFA主催の代表戦にも適用されるため、チェコ代表に招集される見込みだった同選手は今夏に延期となった欧州選手権(UEFA Euro 2020)出場が絶望的となった。

 一方カマラへの処分の範囲はクラブレベルにとどまるため、フィンランド代表として欧州選手権に出場することができる。(c)AFP