【4月14日 AFP】エジプトのスエズ運河(Suez Canal)で先月座礁した巨大コンテナ船「エバーギブン(Ever Given)」を所有する日本の正栄汽船(Shoei Kisen)は14日、エジプト側から9億ドル(約980億円)の賠償金の支払いを要求されている事実を認め、現在交渉中だと明らかにした。

 正栄汽船が所有し、台湾の海運会社が運航するエバーギブンは、先月23日に砂嵐に巻き込まれ座礁。国際貿易の大動脈でありながら幅の狭いスエズ運河に斜めにはまり、エジプト当局とサルベージ会社による大規模な撤去作業が6日間にわたって行われた。

 英海運専門紙ロイズリスト(Lloyd's List)は、サッカー場四つ分より長い同船の座礁で、スエズ運河を通ってアジア・欧州間を運ばれる1日当たり96億ドル(約1兆円)相当の貨物の運搬が阻害されたと推算している。

 さらにスエズ運河庁(SCA)は、同運河の閉鎖で1日当たり約1200万~1500万ドル(約13億~16億円)の通行料収入を失ったとしている。

 正栄汽船の関係者はAFPに対し、今後の行方は「法の領域にある」と語った。また時事通信(Jiji Press)は、同社の別の関係者の話として「運河庁と(賠償)金額の妥当性をめぐる協議の折り合いがついていない」が、現在も協議中だと明かしたと報じている。

 スエズ運河庁のオサマ・ラビ(Osama Rabie)長官は政府系日刊紙アルアハラム(Al-Ahram)に、9億ドルの賠償金が支払われないため、エバーギブンを差し押さえたと語っていた。

 ラビ長官によると、エジプト北東部イスマイリア(Ismailia)の経済裁判所が決定した9億ドルという賠償額は、座礁で生じた損失額と離礁作業の費用などを基に算出された。また同船の座礁と離礁作業により、運河が深刻な損傷を受けたとの報道もある。

 エバーギブンは3月29日に離礁した後、スエズ運河の一部を形成するグレートビター湖(Great Bitter Lake)の係留地に移されている。(c)AFP