「限定」には魔力がある。数量限定や限定仕様の特別モデルを手に入れられる幸運者は全世界でもまさに限られている。チャンスはそう多くない。欲しいと思った時がまさに買い時。レギュラー品とは違う限定モデルを楽しむなら、今だ!

MORITZ GROSSMANN(モリッツ・グロスマン)/XIIバースデーエディション
ドイツ、グラスヒュッテの歴史的な時計師モリッツ・グロスマンの名を受け継ぐ現代のブランドとして創立12周年を祝った2020年、記念日の11月11日に発表されたのは、19世紀の伝統技法シルバーフリクションコーティングを施したダイアルが特長。現代のシルバー仕上げとは異なる職人技がクラシカルなデザインを引き立て、実に味わい深い。手巻き。ケース直径41㎜、3気圧防水。ローズゴールド(左)税込 418万円、ステンレススティール(右)税込 297万円、各世界限定6本。

裏面も見どころ。細部まで見事な技術が凝らされた完全自社製の手巻きムーブメントにも設計や仕上げに19世紀以来の伝統が息づく。

GRAND SEIKO(グランドセイコー)/マスターピースコレクション 服部金太郎生誕 160周年記念モデル
2020年はセイコー創業140周年と同時に、創業者である服部金太郎氏の生誕160周年という大きな節目の年。服部金太郎の記念モデルとして、プラチナ950ケースによる世界限定50本の「グランドセイコー」が発表された。ザラツ研磨などセイコーの技術を結集したケース、新技法を取り入れた放射模様の多層ダイアルが特別な魅力を放ち、プレミア感あふれる希少品だ。手巻きスプリングドライブ。パワーリザーブ約84時間。ケース直径37.5㎜、3気圧防水。税込 1155万円。

ムーブメントは高級時計専門工房のマイクロアーティスト工房で作られ、Micro Artistと刻まれた18Kイエローゴールド製のワッペンを付す。

CORUM(コルム)/ゴールデンブリッジ レクタングル
コルムのクラシックといえば、機械式ムーブメントが一直線を成して宙に浮かぶ「ゴールデンブリッジ」だ。1980年の誕生から40周年を記念して発表されたのが過去のモデルから想を得た2つの限定モデル。ケースバック側のサファイアクリスタルに鍵のモチーフを施し、アバンギャルドな雰囲気を醸す左は歴史的モデルの復刻。ケースと手巻きムーブメントはローズゴールド製、縦42.4㎜×横29.5㎜、3気圧防水。世界限定40本。税込 616万円。

CORUM(コルム)/ゴールデンブリッジ レクタングル ハイエングレービング
ケースにボタニカルモチーフの手彫り装飾を施したホワイトゴールドのモデルも歴史的モデルを再現。世界限定3本。税込 660万円。

JUNGHANS(ユンハンス)/1972 クロノスコープ ジャパンリミテッドエディション2020
2020年6月に世界限定150本で発売された「1972 Chronoscope」に続くのは、東京オリンピック開催への期待を込めた日本限定200本の「1972 Chronoscope JAPAN Limited Edition 2020」。クロノグラフのデザインは、日の丸に通じるホワイト×レッドのカラーリングを施しながら一段と力強い表情に。クオーツ。ステンレススティール、ケース直径43.3㎜、10気圧防水。カーフレザーストラップ仕様(写真)税込 8万5800円とブレスレット仕様 税込 10万2300円の2種類。

裏にはユンハンスが1972年のミュンヘン・オリンピックで公式計時を担当したことを示す文字と陸上選手のスタートを描いたレリーフを刻む。

時計ジャーナリスト・菅原 茂はこう見た!

周年のもつ意味はメーカーにとってもちろん重要。現在に至る歩みが象徴されているからだ。一方で当事者ではない一般ユーザーにとってむしろ重要なのは、周年モデルが新たな発見をもたらすデザインや技法だろう。19世紀の伝統技法シルバーフリクションコーティングをダイアルに施したモリッツ・グロスマンは収穫といえる。

ENGINE編集部・前田清輝はこう見た!

オリジナルに忠実な復刻モデルは魅力的だが、ダイアルの塗装に当時の手法を使用するモリッツ・グロスマンの試みには驚いた。一方でコルムは初代モデルのケースをベースにしつつ、ボタニカル柄や手彫り装飾を加えて新しさと特別感をもたらすことに成功した。"記念"を表現するアプローチにブランドの個性を感じる。

文=菅原 茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE 2021年4月号)
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