【4月14日 AFP】アルメニアは13日、アゼルバイジャンが昨年の紛争で死亡したアルメニア兵のヘルメットを公園に展示したことについて、民族間の憎悪をあおっていると非難した。

 両国は数十年にわたり、係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)の領有権をめぐって対立。昨年9月に軍事衝突に発展し、6000人以上が死亡した。

 6週間に及んだ戦闘は同年11月、アルメニアが敗北する形で終結。ロシアが仲介した停戦合意に基づき、アルメニアは占領地の大部分を返還した。アルメニアではこれが国辱と受け止められた。

 アゼルバイジャンは首都バクー中心部の「軍事戦利品公園」に、紛争で死亡したアルメニア兵のヘルメット数百個のほか、アルメニア兵のろう人形を展示。公園はまもなく一般公開される予定だ。

 12日、現地を訪れたイルハム・アリエフ(Ilham Aliyev)大統領は、自身のウェブサイトで公開したビデオ演説で「軍事戦利品公園を訪れた人は、わが軍の強さ、意志の力、また勝利を得るためにどれだけ苦労したかを目にするだろう」と述べた。

 この公園は、アルメニア国内で強い反発を生んだ。アルメニア外務省は「紛争の犠牲者、行方不明者、捕虜の記憶を公然とおとしめ、その家族の権利と尊厳を侵害している」としてアゼルバイジャンを非難。

 アルメニアのオンブズマン(行政監察官)、アルマン・タトヤン(Arman Tatoyan)氏も、公園は「ジェノサイド(大量虐殺)政策の証拠」であり、「アゼルバイジャンのアルメニア人に対する組織的な憎悪を明確に裏付けるものだ」と指摘。アルメニア市民からも、同様に反発の声が上がっている。(c)AFP