【4月18日 AFP】過去50年間にわたって旧ソ連製航空機数十機を収集・所蔵している私設博物館が、ラトビアで閉鎖の危機にひんしていたが、首都の空港のオファーによってこのほど存続が決まった。

 博物館を運営する元航空機関士のビクトルス・タルパシュ(Viktors Talpas)氏(82)は3月、AFPに対し、リガ国際空港(Riga International Airport)拡張のために月末までに移転を余儀なくされていると語っていた。

 旧ソ連の軍用機や民間機のさびた機体を見渡しながら、収集を始めたのは「社会のためであって、自分のためではなかった」と言うタルパシュ氏。「他にどこにも行くところはない」

 タルパシュ氏はウクライナ出身で、ソ連時代は黒海(Black Sea)艦隊に所属。その後、アエロフロート・ロシア航空(Aeroflot Russian Airlines)に長年勤め、退職後に寄付や買い付け、交換などによってコレクションを拡大してきた。

 大半は冷戦時代にさかのぼるもので、ミグ21(MiG21)戦闘機やミル6(Mi6)武装ヘリコプター、ツポレフ(Tupolev)設計局のTu22M1訓練機などがある。

 リガ国際空港と博物館は長きにわたる交渉の末、このほど解決策を見つけたと発表した。

 空港側は「歴史的な航空機のコレクションは滑走路を挟んだ反対側に移され、空港は新エリアの長期の賃借権を付与する。また、博物館の移転に際し、財政面を含む支援を行う」と述べた。

 ラトビア通信(LETA)によると、タルパシュ氏は「みんなにとって100%完璧な解決策はないが、これで航空史を学びたい人々のために博物館を移転し再開することができる。コロナ禍の制限の中でも、毎月6000人が訪れている」と語っている。

 映像は3月16日撮影。(c)AFP/Imants Liepinsh