■「良い解決策?」

 W杯のために新設されたアルサマーマ・スタジアム(Al-Thumama Stadium)の近くで、レスキュー活動家と獣医師が1匹の犬を捕らえた。高級住宅街へ迷い込み、家の所有者らを困らせていた。

 レスキュー活動家は警察よりも先にこうした案件に介入し、動物に安全なすみかを与えるよう努力している。

 カタールの路上から野良犬を一掃しようとする政府の取り組みに対し、動物レスキュー団体はそうした作戦がどう現状を改善できるのか、説明を迫った。

 地元メディアには、捕獲した犬たちの横に警官が並んだ「哀れみ作戦(Operation Pity)」の写真が掲載されたが、レスキュー活動家らは情報に空白があると訴えている。

 数百人のカタール人や外国人居住者がコメント投稿で、捕獲された動物が人道的に扱われる証拠を示せと要求し、動物福祉に関するフェイスブック(Facebook)の複数のグループで広くシェアされた。

 欧米諸国の中のある大使館は、カタール政府に動物福祉での協力を働き掛けたが、ほとんど反応がなかったと言う。

 レスキュー活動家らは、政府の運営施設がすぐに満杯になり、犬を安楽死させるのではないかと危惧している。また政府の対応は、およそ5万匹と推定されるカタールの野良動物の窮状を解決するには不十分だと言う。

 政府は「今回の作戦で捕獲された犬については今までも、これからも、安楽死はさせない」と言明した。しかし「病気の犬や、非常に攻撃的な犬はどうするつもりなのか」と外国人居住者でレスキュー活動家のアリソン・コールドウェル(Alison Caldwell)氏は問う。

 政府は捕獲した全ての犬について「必要な医療を施し、去勢し、予防接種をし、リハビリを受けさせてから引き取り手を探す」としている。

 里親を待つ動物のための政府の施設は2か所あるというが、レスキュー関係者らは、画像を見る限り不適格な施設のようだと評した。「私には良い解決策に思えない。あれは家畜用の囲いだ」とコールドウェル氏は言う。「あれでは病気やけんかをまん延させたり、さらに子どもを産ませたりするようなものだ」

 映像はドーハから約40キロ南西にある工業地帯や放棄された土地にいる野良犬たち、3月2日撮影。(c)AFP/Anne Levasseur and Gregory Walton