【4月14日 Xinhua News】約2億5千万年前に起きた史上最大の生物大量絶滅では、海洋生物の9割以上と陸上生物の7割以上が死滅した。原因については、シベリアの巨大火山活動を挙げる説が有力視されているが、中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China)の沈延安(Shen Yanan)教授の研究チームはこのほど、火山から噴出した「ニッケルのもや」が大量絶滅の元凶である可能性を発見した。

 地球上で過去5回起きた大量絶滅のうち、約2億5千万年前のペルム紀末に起きた3回目は最大規模の死滅を招いた。海で何億年も生き延びてきた三葉虫や棘魚(きょくぎょ)類、古代サンゴなどが絶滅し、腕足(わんそく)動物や二枚貝などの種も深刻な被害を受けた。陸上では両生類や四肢動物、昆虫類のほとんどが死に絶え、植物の大量消滅が同時期の石炭層の欠如をもたらした。

 シベリアの巨大火山噴火による地球環境の変化をペルム紀末大量絶滅の主因とする説については、最新の年代測定により火山噴火が大量絶滅の30万年前に始まっていたことが分かり、両者の関係は科学界の謎となっている。

 沈氏の研究チームは、シベリア「巨大火山」の風下に位置するカナダ北部のスベルドラップ盆地で、ペルム紀頁岩(けつがん)層のニッケル含有量が118~247ppmと通常の18~40ppmよりはるかに高く、一方で生命大量絶滅期の地層では36ppmと急減していることを発見した。

 同大の李夢涵(Li Menghan)博士研究員は「岩石中のニッケル濃度と海水の酸素濃度は相関関係にあり、火山噴火から噴煙(大気)の拡散、海水成分の変化に至る過程を記録している。早い時期には海水中のニッケル濃度が上昇し、後になると大量繁殖したメタン菌がニッケルを栄養素として取り込み、温室効果ガスを生成した」と説明した。

「火山は少なくとも80万年噴火し、連鎖反応の引き金を引いた」と語る沈氏は、巨大火山が地下のニッケル鉱を地上に噴出し、形成された「ニッケルのもや」が大気循環を通じて世界的に沈降したとの見方を示す。過剰なニッケルは植物の光合成と呼吸を妨げたほか、海水の酸素欠乏や酸性化を引き起こし、生物の大量死をもたらしたという。

 今回の研究は、ニッケルの同位体を用いて初めて生命の絶滅過程における環境変化を分析しており、その成果は国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News