【4月12日 AFP】男子ゴルフ米国ツアーメジャー第1戦、第85回マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2021)は11日、米ジョージア州オーガスタのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(Augusta National Golf Club、パー72)で最終日が行われ、松山英樹(Hideki Matsuyama)が日本人選手初となる大会制覇を果たした。

 松山は「73」とスコアを1ストローク落としたものの、2位のウィル・ザラトリス(Will Zalatoris、米国)と1打差の通算10アンダーで歴史的な快挙を達成した。

 松山はこれでマスターズ制覇の証しであるグリーンジャケットに袖を通し、207万ドル(約2億2700万円)の優勝賞金を手に入れるとともに、日本のスポーツ史に名前を残した。

「朝からずっと緊張していた。最後まで緊張しっぱなしで終わりました」と語った松山は「良いプレーを見せられてよかったなと思います」とし、「これまでメジャーで(日本人が)勝てなかったことが、僕が勝ったことによってこれから先、日本人がすごく変わっていくんじゃないかなと思って。それに、僕がもっともっと勝てるように頑張りたいなと思ってます」と続けた。

 日本のファンの期待を一身に背負いながら、松山はプレッシャーのかかる中で貴重なパーを拾い、重要なバーディーを奪いながら冷静にラウンドしていった。終盤は同組のザンダー・シャウフェレ(Xander Schauffele、米国)に残り3ホールで2打差と追い上げられたが、16番でシャウフェレが痛恨のトリプルボギー。松山も引き続き苦しみ、最終ホールまでもつれる展開になったが、1打差で逃げ切った。

 マスターズ初出場のザラトリスが最終日をスコア「70」で締めて1打差の2位、メジャー3勝のジョーダン・スピース(Jordan Spieth、米国)とシャウフェレが3打差の3位タイに入った。

 アジア人男子のメジャー制覇は、2009年の全米プロゴルフ選手権(2009 PGA Championship)で優勝した梁容銀(Yong-Eun Yang、韓国)以来2人目。松山は2017年のブリヂストン・インビテーショナル(Bridgestone Invitational 2017)を最後に米ツアー勝利から遠ざかっていたが、2016年の世界ゴルフ選手権(World Golf Championships)、HSBCチャンピオンズ(WGC-HSBC Champions 2016)と同様に、3日目までのリードを生かして勝利を収めた。

 これまで、メジャーでの日本男子は1980年の全米オープン選手権(US Open Championship)で青木功(Isao Aoki)氏、2017年の同大会で松山が記録した準優勝が最高で、マスターズでは4位が最高成績だったが、その歴史も塗り替えた。

 この日の松山は、1番のティーショットをいきなり右の林に入れてこのホールをボギーとし、緊張感の漂う立ち上がりとなった。2番でもグリーン脇のバンカーにつかまったがバーディーを奪うと、その後は8番、9番で連続バーディーを奪い、残り7ホール時点では7打差のリードをつけた。

 その後はシャウフェレが迫ってくる中で12番をボギーとすると、パー5の13番ではティーショットが木に当たったが、ここはうまくリカバーしてバーディー。15番では池に入れてしまったがここをボギーでしのぎ、バーディーを奪ったシャウフェレとの2打差を保った。

 その後はシャウフェレが16番で池に入れ、メジャー初のトリプルボギーをたたいたのに対し、緊張と闘う松山も連続ボギーとなったが、シャウフェレとは4打差、すでにホールアウトしていたザラトリスと2打差として、続く17番をパーセーブした。

 そしてボギーでも優勝が決まる最終18番は、バンカーからピンそば1.8メートルにつけると、パーパットはわずかにカップを外れたが、タップインで日本のファンが待ち望んでいた栄冠を手にした。(c)AFP/Jim SLATER