【4月11日 AFP】キューバで10日、同国初となる動物福祉法が公布された。動物虐待に対する罰金が定められた一方、闘鶏や宗教儀式での動物のいけにえは禁止していない。

 キューバでは2019年、動物保護法の制定を求めデモが行われた。共産主義のキューバで市民の要求が認められ法制化されるのは今回が初めてで、市民社会の勝利だと考えられている。

 2019年4月7日に首都ハバナで行われたデモには約500人が参加。政府が許可した非政治的な民間によるものとしては、初の大規模デモとなった。さらに今年2月にも、農業省前に数十人の動物愛護活動家が集まり抗議活動を行った。

 国家評議会は動物福祉法の目的について、あらゆる生き物の生存必須条件として、人間とそれ以外の種の間で調和の取れた関係を築くことだと説明している。

 今回、闘犬は禁じられたが、闘鶏については、国が監督する団体が主催する限りは合法とされた。キューバでは闘鶏が伝統的に行われており、故フィデル・カストロ(Fidel Castro)元国家評議会議長の一族の財産にも闘鶏場が含まれている。

 さらに、ナイジェリアからの奴隷によってキューバに伝わった民間信仰「サンテリア(Santeria)」での動物のいけにえも引き続き認められる。ただし、「動物の痛みとストレスを避けるため、いけにえは素早くかつ思いやりを持ってささげること」とされている。

 保護対象には、すべての哺乳類、鳥類、蜂、爬虫(はちゅう)類、魚類、軟体動物、甲殻類、両生類が含まれ、動物の福祉とは「肉体的・身体的な観点から、生死を問わず動物が適切な状態にあること」と定義されている。

 動物には「人間の世話や保護」を受ける義務があると定めており、違反者には500~4000ペソ(約2200~1万8000円)の罰金が科される。(c)AFP/Carlos BATISTA