■王室とBBCの共通点

 主要王族が死去した際の放送の編集方針は、地上波チャンネルが三つしかなかった数十年前から、準備とリハーサルが進められてきた。

 しかし、デジタル化が進んだ上、女王と王室に対して無条件に敬意を持つという意識が薄れている現在、その編集方針は果たしてふさわしいのか問われている。

 英ウエストミンスター大学(University of Westminster)のジーン・シートン(Jean Seaton)教授(メディア史)はAFPに対し、「(BBCが今回と)違うことをしていたら、別の人たちから批判されていただろう」と語る。

 実際、公共放送チャンネル4(Channel 4)は、殿下の生涯に関する複数のドキュメンタリー番組を放送したものの、放送内容を通常の予定から大きく変更しなかったことで批判された。

 BBCの歴史について著書があり、BBCは「英国の国家機関」だと言うシートン氏は、「すべての英市民に対する義務があるという点で、(BBCは)王室といくつかの共通点がある」と指摘し、「常にすべての視聴者に、彼らが見たがっている内容を提供する必要はないが、英市民を代表するとともに、市民に仕える義務はある」との見解を示した。

 批判を受けてBBCは、殿下の死去にまつわる番組が多すぎるという苦情を受け付けるフォームをホームページに設けた。(c)AFP/Pauline FROISSART