【4月10日 AFP】インドの新型コロナウイルス流行の中心地となっている西部マハラシュトラ(Maharashtra)州で10日、州全域を対象に週末の終日外出禁止が実施された。同国は、ワクチンや治療薬、病床の不足にも直面している。

 インドは大規模な祭礼や政治集会、観客を入れたクリケットの試合を認めるなど警戒を緩めていたが、直近の1週間で約100万人の新規感染者が確認され、新たな感染の急拡大に直面している。

 インドでは昨年もロックダウン(都市封鎖)が行われたが、多くの市民が困窮し、主要国の中でも特に大きな経済的打撃を受けた。そのため中央政府は2度目のロックダウンを回避しようと躍起になっている。

 しかし、多くの州は新型コロナ対策を厳格化している。マハラシュトラ州と州都ムンバイ(旧ボンベイ)は特に厳しく、飲食店を休業させ、5人以上の集会を禁止。4月末までの毎週末、同州の住民1億2500万人は、食料品や医薬品の買い出しなどの場合を除き、外出が禁止される。

 人口約13億人のインドでは、ワクチン接種が進められているが、各地の当局によると、これまでの接種回数は9400万回にとどまっており、在庫も少なくなっている。

 当局によると、ムンバイでは、民間のワクチン接種会場は72か所すべてが6日まで閉鎖され、政府や地方自治体の接種会場も実施時間が短縮された。

 ムンバイ保健当局のマンガラ・ゴマレ(Mangala Gomare)氏は、「11日までにワクチンが補充されなければ、12日からは政府のワクチン接種会場も閉鎖することになる」と現地メディアに語った。

 西ベンガル(West Bengal)州保健当局トップのアジョイ・クマール・チャクラボルティー(Ajoy Kumar Chakraborty)氏はAFPに対し、ワクチンの在庫が切れたため、同州の多くの接種会場が閉鎖されたと明らかにした。

 英字紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)は9日、ワクチン製造各社が増産を急いでいるが、各州のワクチンの在庫は、平均で5日分しか残っていないと報じた。

 一方、連邦政府の保健相は、野党が実権を握る複数の州に対して、「自らの失敗から注意をそらす」ために、策を弄(ろう)していると非難している。(c)AFP/Nivrita Ganguly with Sailendra Sil in Kolkata