【4月9日 AFP】米政府は8日、ロシアがウクライナとの国境地帯で軍備を増強していることに懸念を表明した。ウクライナ東部の国境地帯ではここ数週間、ウクライナ軍とロシアの支援を受けた分離派の戦闘が激化している。

 首都ワシントンで記者会見したジェン・サキ(Jen Psaki)米大統領報道官は、ロシア軍がウクライナとの国境地帯に展開する部隊の規模が「2014年以降のどの時点よりも」大きくなっていると指摘。「米国は、ウクライナ東部で最近ロシアが侵略行為を強めていることに懸念を深めている。国境地帯でのロシア軍の動きもその一つだ」とし、「深く憂慮すべき兆候」だと述べた。

 ロシア語を話す住民の多いウクライナ東部では2014年、ロシア編入を求める分離派との紛争が始まり、ロシアはクリミア(Crimea)半島を併合した。現在も続くこの紛争では、これまでに1万3000人以上が死亡している。

 サキ氏の発言に先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領(43)は8日、東部国境地帯の前線を視察した。

 西側同盟諸国は、ロシアに行動を抑制するよう繰り返し警告している。一方のロシア政府は軍の配備について否定せず、「誰も脅かしていない」と主張している。

 ロシアとウクライナの緊張化をめぐり、ロシア側の真意がどこにあるのかについて専門家の見解は割れている。ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領の出方をうかがっているとの見方もある。

 バイデン氏は先週、就任後初めてゼレンスキー氏と電話会談し、ウクライナに対する「揺るぎない支援」を約束した。(c)AFP/Olga SHYLENKO