【4月9日 AFP】新型コロナウイルスの新たな感染拡大を受けて各国がワクチン争奪戦を繰り広げる中、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)製ワクチンの接種対象を高齢者に限定する動きが拡大している。

 欧州の医薬品規制当局は今週、アストラゼネカ製ワクチンがまれに血栓を引き起こす恐れがあると発表していた。

 オーストラリア、フィリピン、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、カナダに続き、オランダとポルトガルも、接種対象を高齢者(主に60歳以上)に限定した。

 英国は8日、副反応が起きるのは極めてまれで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクの方が大きいと述べ、アストラゼネカ製ワクチンに対する不安の払拭(ふっしょく)に努めた。

 AFPが各国当局の発表に基づきまとめた統計で各ワクチンが接種されている国の数を比べると、アストラゼネカ製は111か国で、米ファイザー(Pfizer)・独ビオンテック(BioNTech)製と米モデルナ(Moderna)製を合わせたよりも多い。

 ワクチンの世界的な供給を目指す共同購入の枠組み「コバックス(Covax)」を主導する団体の一つ、Gaviワクチンアライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance)の広報は、「アストラゼネカ製ワクチンは、COVID-19のパンデミック(世界的な大流行)に対する重要な公衆衛生ツールで、重症化、入院、死亡を防ぐのに有効だ」と述べた。(c)AFP