【4月9日 AFP】米国のメキシコ国境で3月に拘束された不法移民の数が、前月比70%増の17万2331人と、15年ぶりの高水準となった。税関・国境警備局(CBP)が8日発表した。ジョー・バイデン(Joe Biden)政権は移民問題をめぐり増大する課題に直面している。

 CBPによると、保護者が同伴していない子どもの保護数は3月、前月から倍増し、1万8663人となった。さらに227人の子どもが国境検問所で入管当局に保護され、政府が再定住のため受け入れざるを得ない未成年者の数は計1万8890人に増加。収容・処理施設がひっ迫する状況となっている。

 移民の多くはメキシコや、中米の「北部三角地帯(Northern Triangle)」と呼ばれるホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラの出身。CBPによれば、大規模な集団での越境が増えている。

 CBPは、移民増加の背景には「メキシコと中米の北部三角地帯諸国での暴力と自然災害、食料不安、貧困」があると説明。CBPのトロイ・ミラー(Troy Miller)局長代行は発表文で「これは新しいことではない。(不法移民との)遭遇は2020年4月から増加し続けている」と述べた。

 3月には、単身の成人を中心とした不法入国者約10万4000人が、新型コロナウイルス対策に基づく規則によりメキシコに送還された。だが、保護者が同伴しない子どもと、幼い子どもを含む家族連れ数万人は米国在留が認められ、バイデン政権にとって政治的・社会的な難題となっている。(c)AFP