【4月8日 AFP】元クリケット選手でプレーボーイとして名をはせたパキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相が、レイプ事件の増加は女性の服装に原因があると発言し、「困惑するほどの無知」だと人権団体などから非難を浴びている。

 英オックスフォード大学(Oxford University)で学んだカーン氏は先週末、生放送のテレビインタビューで、レイプ事件の増加は「下品なふるまいが増えつつある社会における当然の帰結」を示していると発言した。

 カーン氏は、「女性に対するレイプ件数は(中略)実際、社会で急速に増加した」と指摘。女性に控えめな服装や男性との生活空間の隔離を求める「パルダ」という社会規範に言及し、「パルダの狙いは誘惑を防ぐことだ。誰もが誘惑を退ける意志の強さを持っているわけではない」と述べ、女性に体を覆って誘惑を避けるよう助言した。

 この発言に対し、「事実に反しており無神経で危険だ」と批判するオンライン署名には、7日までに数百人が賛同した。署名文は「責任はもっぱらレイプ犯と、レイプ犯を容認する制度にある。それには(カーン氏の)発言などによって醸成された文化も含まれる」と訴えている。

 人権団体「パキスタン人権委員会(HRCP)」は6日、カーン氏の発言に「がくぜんとした」と表明。「レイプがどこで、なぜ、どのようにして起きるかについて困惑するほどの無知をさらしているだけでなく、被害者に責任を負わせる発言だ。レイプ事件のサバイバーには幼い子どもも、名誉犯罪の被害者もいることを政府は知っているはずだ」と非難した。

 パキスタンは極めて保守的な国で、男女平等度ランキングは常に世界最低レベル。性暴力の被害者を疑いの目で見る傾向があり、警察に被害を訴えても本格的な捜査が行われることはまれだ。国民の大半は「名誉」を重視する社会規範を守り、一族の「恥」とされた女性が暴力を振るわれたり殺害されたりすることもある。(c)AFP