【4月7日 AFP】デンマーク領グリーンランドで6日、自治議会選挙(定数31)が行われ、左派野党のイヌイット・アタカチギット党(IA)が明確な勝利を収めた。7日に発表された開票状況から分かった。IAは争点となっていたレアアース(希土類)採掘計画に反対していた。

 IAは得票率36.6%で勝利。1979年の自治政府発足当時から政権を主導してきた社会民主主義のシウムート党(Siumut)は、第2党となった。

 IAは現有の8から12に議席を増やす見通しだが、過半数には届かず、複数の少数政党と連立政権を樹立する可能性が高い。

 選挙の争点はレアアースとウランの大規模採掘計画の是非で、シウムート党は計画に賛成していた。計画をめぐっては現在公聴会が開かれているが、IAはウラン採掘の一時停止を求めてきており、計画は凍結される見通し。

 レアアースは希少金属の17元素の総称で、スマートフォンから電気自動車や兵器まで、あらゆるものの部品に使用されている。グリーンランド南部の鉱床のレアアースとウランの埋蔵量は、世界最大級と考えられている。

 中国系の豪企業グリーンランド・ミネラルズ(Greenland Minerals)が主導する採掘計画に対しては、放射性廃棄物の問題など、環境リスクが大きいとの懸念の声が上がっていた。(c)AFP