【4月7日 People’s Daily】3月4日、全国政治協商委員で、中国科学院院士兼SKA中国首席科学者の武向平(Wu Xiangping)氏は、世界各国の協力のもと、人類史上最大の望遠鏡であるスクエア・キロメートル・アレイ(SKA)は、今年7月にその建設を開始し、2028年に全体の10%を完成させ、観測プロセスに入るという見通しを示した。

 国際ビッグサイエンスプロジェクトの一つとして、SKAは世界最大で最も鋭敏な望遠鏡の建設を目指している。その受信面積は1平方キロメートルに達することになる。「中国天眼(FAST)」が世界最大の単口径球面電波望遠鏡なのに対し、SKAは千に及ぶ小型ディスク型アンテナを組み合わせたものだ。FASTは北半球に位置するのに対し、SKAは南半球に位置している。両者は互いに補完しながら、人類の天文研究事業に貢献していく。

 SKA計画は国際熱核融合実験炉(ITER)計画への参加後、中国が参加した第二の国際ビッグサイエンスプロジェクトだ。1993年、日本の東京での第24回国際電波科学連合総会で、中国を含む10か国の天文学者が共同で次世代の大電波望遠鏡の建設を提唱した。2011年、SKA機構(SKAO)がローマで正式に設立され、中国は9の創始国の一つとなった。

 中国科学院国家天文台の秦波(Qin Bo)研究員は、「ITER計画に参加するのとは違って、SKA計画は中国が参加した最初のプロジェクト提唱・立案から国際組織の設立まで、基本ルール・条約の制定からプロジェクトの建設・運営まで、すべてのプロセスに参加し、重要な役割を果たしている国際ビッグサイエンスプロジェクトだ」と述べた。

 2012年、SKA計画は建設準備段階に入り、ダブル建設地案はSKAO加盟国が一致して採択された。建設地の所在国はそれぞれオーストラリアと南アフリカで、イギリスに本部を置く。その中の高中周波用アンテナ陣は南アフリカを中心に、ほかの8つの南部アフリカ諸国を含むアフリカ大陸に建設され、低周波用アンテナ陣はオーストラリアの西部に建設される見通しだ。

 建設準備段階において、SKAOは全世界に11もの作業パッケージを発表した。アンテナ作業パッケージはその中で一番大きく、工事の建設費用が最も高いものだ。数ラウンドにのぼる激しい競争を経て、最終的には中国の「アンテナソリューション」が選ばれ、唯一の候補案となり、中国はアンテナ作業パッケージ連盟の会長となった。2018年2月、中国電子科学技術集団公司第54研究所はSKA初のアンテナサンプルSKA-Pの開発に成功し、多くの分野でその総合性能が国際的にも先進的なものとなった。

 秦氏は「SKAは多くの現代科学技術の最新・最高の成果を体現しており、世界の製造、通信、コンピューティング、エネルギーなど一連の産業の急速な発展を推進していく。中国の関連産業界は、すでに一定の技術備蓄や工事経験により、本プロジェクトの技術研究開発に参画する能力を有しており、関連する成果を他の科学技術の重要なニーズのある分野に応用させていくだろう」と語った。(c)People’s Daily/AFPBB News